2012.8.15

日帰りノ旅

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

8/14 妻の唯一の休日を利用して、家族同伴で今年初の日帰り建築巡礼の旅に行ってきました。

AM3:30 YAHOOニュースの西日本大雨に注意に引っ掛かりつつも発進。大阪でワイパーが利かないくらいのシャワーのような大雨に見舞われ、側道の水溜りにハンドルをとられながらも香川到着。

山越うどんを食べ、本州に引き返す。

約50キロ走行。

岡山県宇野港から40分フェリーに乗り、念願の豊島到着。

豊島美術館 2010年 西沢立衛 氏設計

周囲14キロ、青々した棚田に包まれた島に埋もれるこの白い建物。全て鉄筋コンクリート造。内部は約60メートルx42メートルの無柱空間になっています。

これだけの大きさの空間を柱で支えずに構造を成立させるのはすごい事なのです。

鉄筋コンクリート造は通常、コンクリートを計画した形に固めるため、型枠というせき止めを作ります。型枠は木製か鉄製でできていますが、こんな3次元的、有機的な型枠、そうは作れません。そこでここでは大きな土の山をつくり、そこにコンクリートを流し、固まってから内部の土を掘り出すというスゴイ工法が採用されています。

内部は白い世界に大きな開口が二つあり、風や外部を取り入れています。

広い空間では寝そべったり、風を感じたり、人が思い思いに世界を愉しんでいます。その世界観も作品のひとつであるかのように映り、桃源郷ってこんなところなんだろうな、と感じました。

下衆な表現ですが、こういう3次元建築に身を委ねると、子供の頃に砂場の近くにおいてあったカマクラを思い出します。が、この建物、すごく洗練されています。生身の身体ではなく、体を脱いでタマシイの状態で訪れた方が空間に似合いそう、と思えるくらい、純化された空間です。

内部は、微妙に勾配のついた撥水加工された床の上を色んなところから湧き出る表面張力でできた水玉たちが走ります。本当に生物のように。訪れた時、少し前に降った大雨の大きな泉ができていて、はじけた水玉たちがキラキラと輝いていました。

アート作品はもうひとつ、開口の前に白い紐がたらされています。
紐がゆらゆらたゆたい、風を抽象化しています。

抽象化された空間設計を極めた設計者と、内部の自然を純化したアートのコラボ、本当に異世界です。

お盆中なので島内の色んな施設がお休みで残念でしたが、島から帰路につき、もうひとつのお目当て

六甲枝垂れ 2010年 三分一博志 氏設計へ

六甲山を登っていくとスゴイ霧。徐行じゃないと崖から落ちそうな状態。

なんとか到着しつつも、ここは雪山か、と見紛うような白い世界でした。

六甲山に鎮座するこの建築。

地球の力を活かした設計の第一人者が設計されています。

空気の流れや地形を活かし、建築の工夫で四季に応じた環境をデザインしています。

たとえば、この建築は冬季の間氷点下となる気候を活かし、前面の棚状の水盤で作った氷を地下の貯氷庫に保管し、夏場の室内を冷やします。その溶けた水は、この遺跡のようなデザインの水盤にテンテンと落ちる仕組みです。そして暖まった空気は煙突のような高い天井から抜けていきます。
実際の温熱感に加えて、水の落ちる音が涼感を助長していました。(この日は濃霧でむしろ寒かったです。。。)

大雨と霧と睡魔と、大変な目にあいましたが、なんとか無事帰宅。四国日帰りはハードでしたが、よい旅でした。