2015.9.5

壁の本 と 最近の思考

少し前に本棚入りした本のご紹介.
 
 
『壁の本』  杉浦貴美子
 
 
 
 
 
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著者が最初に壁の魅力に気付いたのは旅行先のベルリンだったそう.
 
それから壁の魅力にとりつかれて、壁の写真を撮られていてるそうです.
 
日常の風景の中、壁にフォーカスすると、こんなにも素敵な世界があるという事を気づかせてくれる本.
 
 
 
 
僕はこの本と5年前くらいにビレッジバンガードで出会い、その時迷ったすえ、購入を見送ってしまってから、もう出会うことができなくなっていました.
 
先日どうしても読みたくなってAmazonさんで購入.
 
定価より1000円くらいプレミアがついていました。。。
 
 
 
建築設計においても、このような壁の風合いに素材の魅力を感じています.
 
このような素材感は、人がコントロールできないからこそ魅力的なのだという側面もあるかもしれません.
 
でも例えば、カーポートの水下のしずくが集中するコンクリートブロックが少しずつカタチをかえていくように、
雨がよく当たるところと当らないところでトタンの表情が変わるように、
 
力の流れ、経年変化の道を考えれば、設計の力で、変化の可能性を意図的に導くことはできると思っています.
 
 
新築後すぐにこの風合いをだすフェイク的、表面的なテクスチャーというよりも、時間と記憶と読みで、移ろう表情をつくる事ができるのではないか、ということに可能性を感じています.
 
どんな表情になるのかは、その時間でないと読み切れないのも魅力のひとつだと思います.
 
 
寸法体系で導く空間の手法と平行し、物体が持つ力の影響による空間の構成にも可能性を感じています.
 
 
味のある壁の風合いや、小学校のざらりとしたリシンの風合いに、多くの人がどこか懐かしさを感じたり、魅力を感じたりするのは、それも多くの人が経験してきた同じような風景がそれぞれの記憶に眠っているからであり、それはある意味、人間が何かしらの魅力を感じる集団知、集団的無意識のひとつであるとも思います.
 
 
建築設計において、今僕は、これらの要素を時間と記憶の媒介者として、建築の中の聖なるところや、日常を受けとめる部分に意識的に埋め込んでいこうと思っています.
 
 
その空間ができた時、その場所において、僕がそのように説明するような野暮なことはせずとも(なるべく・・・)住まい手と建築との途切れることのない無言の対話であり、応答であり、ある時は空気のようで、ある時は親密さを感じる事ができるなにかが、そこにはあるだろうと思っています.
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ヨネダ設計舎ホームページURL http://www.yonedasekkeisha.com
米田雅樹 三重県 建築設計事務所