2016.9.16

結界の美

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結界の美  伊藤ていじ 1966年出版
回廊についていくつかの書籍を読んでいった中で巡り会った名著.
古今様々な結界を紹介、考察されています.
心に残った文章のひとつ.
物理的にはなんら人の侵入を防ぐことはできない 結界石や関守石を引き合いに出し、
「ここにおいて私たちは結界の第二の特色に気づく.それは結界地の境界においては人々は何よりもまず心のけじめ(結界)もつけなければならないことである. (中略) 別の言葉で言えば、私たちがもっている心のけじ目を物理的に表示したものが、すなわち結界なのである.」
結界を示しても、そこに心(その表示意味の認識)がなければ意味をなさない.
それでも日本人の共通認識として今なお結界のちからが有効に働いているのは、文化の中の常識であったり、道徳であったり、もうひとつ場の空気の察知、というものが我々の中に根付いているからだ.
防壁と結界との違い.
いつだったか雨仕舞講習の際に聞いた、「防水と雨仕舞は違う」という言葉を思い出した.
(とは言ったものの両者は違いますね・・・シャットアウトと工夫・とシャットアウトと心理行動ですからね・・・いやでも心理を使った建築的工夫と空間操作ともいえそうです.)
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米田雅樹 三重県 建築設計事務所