2023.4.4

池原建築2






先日に引き続き、池原義郎(1928-2017)が設計した建築物のご紹介。








所沢聖地霊園礼拝堂・納骨堂(1973年竣工)。




前職でたいへんお世話になった先輩から「絶対に見に行くように」、と教わった。




今となっては、これまで見た建築物の中でも、5本の指に入るほどの好き具合。









まず、シークエンスを追ってみる。






アプローチ。霊園内に立ち入ってすぐは、建物が主張しないようにタチを抑え、周囲と溶け込むように屋根は芝生が張られていた。







入口扉は重厚で、死の世界と向き合うための、すなわち、「こっちの世」と「あっちの世(に近いところ)」を強調するつくりに見える。







扉を開けて建物に入ると、色ガラスの優しい光に誘われ、礼拝者はその光へと導かれる。







礼拝堂への入口に立つと、所どころの美しい光とその反射に満ちた世界が広がっていた。







トップライトから落ちた光は斜め天井をにじませる。







正面に立ったとき。地上部に近い、低いところから入った光が反射し、斜め天井を駆け上がるようににじんでゆく。











一つ一つの部位を見ても、すごく丁寧にデザインされていて感心する。









色ガラスの窓からの反射が美しく見えるように、床の石貼りへはウレタン(エポキシ?)系の塗料が用いられている。







開口部のつくりも壁の厚み変え、漏斗状の開口部(外側が小さく、室内に行くほど大きくなる)とすることで光のにじみ方を操作し、「抱き」の強弱を与えているようだ。








コンクリート壁と斜め天井の取り合い。ここでも「物と物がぶつからない」おさまりが表現されている。








納骨堂内は天井にステンドグラスが取り付けられ、壁や床にカラフルな光が落ちていた。










一昨年、祖母が他界した時に利用した葬儀場とは、雲泥の差だ。





生と死、故人と向き合うためにデザインされた空間だと強く実感できる。





人間はいつか死ぬけれど、僕はこういう建築で看取ってもらえたら幸せだろうなあと思ったり。









それと、写真を見返して思い出したのは、建築って、当たり前のように、基礎があって木組み(骨組み)が組まれて、木組みを覆うような仕様で仕上げ材が取り付けられて…


よく、構造部材と仕上げ材が切り離されてしまいがちだけど、個人的に「いいな」と思う建物は、たとえ切り離されていても、どこか一体的に見えるという感覚に浸れるんですよね…







まだまだ?人生の途中。この先も修行です。

(先日、工務店社長兼大工棟梁さんに、「建築は一生修行だよ」とのお言葉をいただきました…)





スタッフ 阿部