2020.7.12
言葉と世界認識と私とマンガ
車を運転中、ある日 ラジオの向こうからとどいた短歌.
見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮れ
藤原定家 平安時代末期-鎌倉時代
今まで、あまり和歌や俳句の世界に触れてきていなかった僕は、 その美しさに、言葉のもつちからに、時間が止まりました.
秋の海、粗末な小屋の周りに、花も紅葉もない情景.ただ、秋の空気と、海がそこにある.
その描写でこんなにも私の心の中に花や紅葉が形をもって顕れるものなのかと。。。
言葉の力.言葉は世界認識の媒介者であり、言葉は私たちの想像を喚起し、想像と世界をつなぎ、また現実の世界と私たちはわかちがたくつながっていることを想像させてくれる、ということをこの短い短歌から教わりました.
この出会いから、最近は俳句、短歌などを少しずつ読むようになりました.
そこで気付いたのは、それぞれの詩人、俳人がそこに顕然させる世界は、おなじ17文字、31文字でも全く色が異なり、
そこにはその人たちの生い立ち、バックボーン、思想、その人となりがまるで人格のように顕れること・・・.
僕は本が好きで、ひとこと、ひとこと、言葉の力を信じて、言葉に時には導かれ、時には励まされ、教わり、生きてきました.
自分から発せられる素の言葉を大切にして生きていきたい.
そこには装飾や虚構もなく、素であることを大切にしたい.
そんな昨日、なんだか白い本が読みたいなーなんて思っていたところ、奥山銘木店にて、また本棚から本に呼んでもらいました.
なくてもよくて絶え間なくひかる 宮崎夏次系 2018年初版
なんてすばらしい漫画なんだ・・・・。
自分.私たち自身と、世界(世間・周囲)とが溶け合っていく、そうやって認識していく思春期のこと.
いたく共感してしまいました.透明な水をのむように、からだに染み入りました。。。。
ぼくは、
人間の体が、細胞が、これまで摂取してきた食品から組成されていることに等しく、
人の心は、経験と、言葉、そして僕の場合はマンガから組成されているのだと思っています.
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