2017.12.18

20171217

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万感の思いで読了.
建築の本を10冊くらい読んだら、偏りを無くすのと、純粋に文学を楽しみたいという両方の理由で、文芸作品を読むことにしています.
20歳過ぎの頃、大人になってから活字を読むきっかけになった本が、
吉川英治さんの宮本武蔵(中学生の頃、大山倍達さんの著書で知って読みかけていたけど途中で断念していた)と、この恩田陸さんの「夜のピクニック」だったこともあって、今回選んだ本.
『蜜蜂と遠雷』  恩田陸 2016
ピアノの国際コンクールを舞台にした作品.
それぞれのコンテスタントの視点や感情がリアルに伝わってくる.
天才と呼ばれる人.
自身を凡人と理解した上でその場所を目指す人.
きっと、だけど、音楽に対する気持ち、音楽をもって世界とつながっているこの道の人たちを、著者は自分の文学に対する姿勢や情熱をなぞりながらここに描きだしていったのではないか.
20年弱前に読んだ著者に導かれ、天啓のような言葉たちに出会う.
恩田さんの作品は何冊か読んだ.作者ならではの空気感と物語の流れも当然感じつつも、ここでさらにフラッシュしたような鮮やかな作品.
優れた作家の更なる歩みに、歩み続ける人の背中を見せてもらう.
このギフトを受けて僕にとっての音楽は、自分の仕事なんだと.
心に残る映画  『LIFE』 『フラッシュダンス』他多数 ・・・.
心に残る漫画 『ギャラリーフェイク』 『バカとゴッホ』 『ドラえもん』 『ピンポン』 『BAKUMAN』 『グリーンヒル』『シガテラ』 『万祝』 他多数・・・.

心に残る文芸本  『こころ』 『檸檬』 『人間失格』 ・・・『BOX』・・・『蜜蜂と遠雷』・・・・
(こうしておこしてみると偏ってるな・・・)
これは自分の人生に残る本.
この本を読んで、
人に対して良く思われたい、とか、実力以上の自分に見せたい、だとか
そんなヨコシマな気持ちがあった自分も認めつつ、
そんなのは関係ない、自分が思うことに自信を持って、みつけた灯に向かっていくだけだ、と素直に思った.
そこにはおどけも、茶化しもいらない.
それが二十代の頃、趣味の格闘技では結局ちっとも乗り越えられなかった、自分が求めた強さだと30後半にして改めて気づく.
人に認められるより、自分に認められたい.
そうなるためには、もっと自分を律しないと.
だらしないところや、自分に甘いところなんかを正していかないと、つくるものにも正直にあらわれてくるだろう.
そこを直視すること.
知らないことや、熟練に対して、自分の体裁を保つための逃げもいらない.
言い訳はしない.
2017年 年の瀬にして、そんな気持ちにさせてくれた物語.
久しぶりに、このblogを書き始めた頃のような青い思いのたけを綴ってしまいました.
それだけ僕にとって、この本が素晴らしかった.