2025.10.3

20250927-28 川合健二邸へ

 

20250927 愛知県豊橋市 川合邸へ.

 

愛知住宅研究会の勉強会にお誘いいただいて、夕方、宿谷昌則先生の環境講義を聴く.

そのあと希望者はここに泊まれるという企画.

 

 

僕は宿谷先生の講義は2回目だった.エネルギーをエクセルギーという考え方で環境学を説いてくださる.8年くらい前に拝聴した時から、更に人体、細胞から宇宙の構造と重ねた環境学にアップデートされていて、大変興味深く、学びをいただいた.懇親会で宿谷先生に質問する.エネルギーのこと、音の振動はどこまで伝わるかということ.熱は失われるのではなく、高いところから低いところへ流れていく.果ては宇宙の-270度に流れていくのだと.

人体の中の構造と人体外の構造とのフラクタル構造.さらにそんな人がつくる社会構造、言葉の文化もこの身体の成立ちと相似しているという話に目からウロコだった.

昨年読んだ土と内臓で、ヒトの腸の構造と、森の土中の構造がとても似ているという学びとシンクロする.

 

コルゲートハウス.1966年に天才設備設計士によってつくられた土木で使う資材を転用して構築された住まい.

 

約10年前にこの住まいにお伺いした.花子さんがご健在で、コタツに入れてくださってたくさんお話をしてくれた.

 

 

 

 

10年前、この場所を訪れた時間を思い出す.

 

 

 

もう健二さんはお亡くなりになっていた.

 

「家は立っているのだから危ないのであって、最初から寝ていれば倒れることがない」

 

天才の思想をこの肌身に体感させていただいた.

 

 

その人生に帆走する花子さんの愛を感じた時間でもあった.

 

 

 

 

 

変わったことをしてやろう、じゃなくて建築設計とは異なる分野の天才が、常識にとらわれず、自身の合理を追求してつくられた住まい.物理的にも、もちろん建築コスト的にも合理的.まさに天才.

 

 

僕も早いものでこの業界に来てもうすぐ20年.とみに思う.建築、特に住宅”産業”というものは、パッケージ化されていて、定価もなく、お決まりの建て方で経済を回す、なんとも水商売みたいな業界だと感じる.

1970年代住宅ローンという制度が活発になり、家づくりが政府の進める経済政策のカンフル剤になっていく.踊らされるマーケット.誘導される人々.(かく言う僕も御多分に漏れずだが)

さらに法律はどんどんがんじがらめになっていく.

本質というものは本来各々個人の中にあり、多焦点的なもののはずだが、それすらも国が決め、十把一絡げに選択の幅を狭めていく昨今.

住まい方とは、個人の生き様に等しいと思う.もちろんなにも変わったことをしてやろう、だけじゃなくて.

マァ、法治国家だ.決められたことを認知したうえで、そこで自分の音頭で踊ってやろうじゃないか、と思う.

 

 

川合さんの住まいをこの身に感じていると、勇気をいただく.

 

住まわれていたお二人はこの世にもういないけれど、家が生きているようだと思った.

 

 

お二人の写真を拝見する.となりでほほえんでくださっているような気がした.

 

 

 

 

 

 

かつて川合さんの本が山積みされていた本棚.

 

 

 

 

 

 

 

 

石山先生の本もたくさん並んでいた.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は、ここで寝る.

 

 

 

朝、ファサードのハニカムから緑に染まった光が届く.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝早く、スケッチをして帰り支度をする.

 

 

 

 

 

 

 

 

そっと、もうすぐ発刊する石山先生の本を差し込んできました.

 

 

 

 

10年前に手にしたこの本のこの言葉.川合さんは本気でこうやって生を歩んでこられたと伝わる.

 

 

 

 

 

 

川合さんの家.宇宙とつながる潜望鏡のようだ.

 

 

 

 

 

ひとり.この建築に手を合わせる.お礼を伝えて秋空に車を走らせて帰る.

 

 

そろそろ僕の生きるの本気を自分で体現していかないといけないんじゃないの、としかと受け取る.

 

 

 

いま、このタイミングでまたこの場所に来れてよかった.
 



10年前おいとまするとき、花子さんがまたいつでもきてね。とおっしゃってくださいました.
建築の仕事をしていると、あっという間でした.
10年も経ったように感じません.
大切なおうちにまたお伺いできて、僕は花子さんに久しぶりにお会いできたような気持ちです.




 

 

 

 

 

ありがとうございました.
 
 
 

 

 

 

川合健二の言葉

自分の頭で考えよう。

自分の足で歩こう。

自分で自分を育ててゆこう。

それこそが、人生の喜びであり、究極の目標である。

 

 

 

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