用途:住居
構造:木造
竣工:2024
計画地は間口が狭く細長い形状であり、二方向の道路に面している.
一方で南側は隣地建物が近接しており1階は南側からの自然採光が難しい状況であった.
建主は以前の住まいは居室に光が届きづらい状況であったこともあり、新居は光に満たされた住まいを求められた.
建築構成は1辺800mmの四角形の木造耐力壁を等間隔に配し、1階2階とも柱と耐震壁が連続する、耐震性の高い計画とした。
リズムよく連続配置された四角い柱型は木造ながら、石造りの教会建築にみられるような架構の反復が持つ空間の特徴をつくる.
連続する隣り合った柱型と柱型のあいだが領域をつくっていく.
並ぶ柱型同士が規定する囲われた領域がつくる落ち着きの場と、それらの間隔からむこうにゆるくつながっていく連続感が共存する.
ひとは何かの取っ掛かりがあってそこに場を見いだし、居心地を感じる.
柱型の反復が連続していく構成は、壁に区切られた面積という概念をこえた部屋のひろがりをもたらしていく.
設計にあたって、800mmの柱型による、一枚の壁で区切るでもない、細い柱でもない、中間的なボリュームによる空間の分節と連続の中庸が生む体感と認識を探っていった.
建築プランは、朝早く日の出とともに仕事に向かわれるご夫婦の生活サイクルを考え、家族が集う居間・食堂・家族クローゼットなどを2階に配置し、一日のはじまりに反復アーチの天井から連続していく東のアーチ窓から毎日の朝日に迎えられる計画とした.
優れた左官技術により仕上げられた室内は、和菓子と洋菓子職人であるご夫婦が日々つくられているお菓子の技術と不思議とシンクロするような空気感になった.
photo 浅田政志