用途:住宅
構造:木造
竣工:2024
建主が敬愛する陶芸家の大壺を中心に据える家.
私の独立後初めての設計です.
この住まいでいちばん高い床レベルとなる大壺の場は、壺の存在感をしっかり受けとめるように、三重の土でつくられる三和土の版築の場とした.
この敷地でもともと生きてきた金木犀の木が壺の背景となる.
以下 2014年のtext
大壺をつくって頂ける事になったので、家を設計してほしい.
クライアントからの初回面談はこうして始まった.
施主はある造形作家を敬愛し、また自身も優れた審美眼の持ち主である.
計画地は、かつて伊勢神宮に遣えた未婚の巫女、斎王が暮らした斎宮の近くにある.また現在も伊勢神宮に奉納する御糸米の産地であり、歴史のある土地である.
集落にはひっそりと山神さまの祠があったり、焼杉や錆びたトタンの家屋たちが風情ある景観をつくっている.
現在はその様な町並みの中にも現代工法のアパートや住宅が混ざり、集落の田畑を挟んですぐ前には大きな幹線道路が走っている.
この敷地は、集落の外周縁にあり、この幹線道路と正対し、集落の顔ともいえる立地にある.
流れる時間の中で薄れていく集落の密度.
例えば巨木がご神木となり、村の象徴になるように、
この壺が、この集落の存在を示す
心の蔵のように鼓動するように計画した.